車を廃車にする際に出るシュレッダーダストエアバッグ類とは
車を解体にする際に出るシュレッダーダストって何?
車に乗っている人も廃車として自動車を引き取ってもらった後のことを知る人はほとんどいないと思います。
自動車が廃車になると、その後の処理はこのように進みます。
- 再利用、再生可能な部品等などの取外し、選別
- 鉄以外の非鉄金属の回収
- 廃油、廃液、廃冷却材やフロン等を回収
- エアバッグ類の取外し、回収
- プレス・せん断処理業者で解体自動車の処理
再利用可能なパーツなどは中古品として市場に流通します。
鉄などの資源は破砕された後にまた、鉄として生まれ変わり、廃油、廃液、廃冷却材は再利用・再資源化等を行うか、産業廃棄物として適正な処理をされます。
処理しきれなかったものがシュレッダーダスト
シュレッダーダストは自動車の解体処理によっても処理しきれなかった廃棄物です。
主に樹脂、ゴム、ウレタン、繊維、選別できなかった金属やガラスです。
シュレッダーダストは今までリサイクルが困難で埋め立て処分されていました。
しかし、近年埋め立て処分場の容量が不足してきたことでシュレッダーダストについてもリサイクルする必要が出てきたため自動車リサイクル法が施行されました。
シュレッダーダストのリサイクル方法
シュレッダーダストの処理方法は2種類に大別されています。
固形燃料化や選別回収を行う「マテリアルリサイクル」
焼却後に熱回収や発電を行う「サーマルリサイクル」
マテリアルリサイクル
トヨタのマテリアルリサイクルはシュレッダーダストを回転ふるいにかけ、シュレッダーダスト内に含まれるガラスを回収する。
ガラスが取り除かれたダストは粉砕されて、さらにアルミや鉄などを回収して、風力分別にてウレタンや繊維類を回収する。
ウレタンや繊維類が除かれたダストはさらに回転ふるいにかけられ銅や樹脂、ゴムなどに選定されます。
※引用:トヨタ自動車株式会社 環境部2014年3月発行 クルマとリサイクル
シュレッダーダスト中で最大の割合の樹脂は鉄を溶かす際の代替燃料として活用されています。
ガラスは丈夫である特性を生かして、高強度のタイルや路盤材として再利用されています。
サーマルリサイクル
サーマルサイクルは熱回収をするリサイクルで物質としてのリサイクルが不可能でも、ただ廃棄物を焼却処理するのではなく、焼却する熱を使って、鉄スクラップを溶かしたり熱の再利用をすることを言います。
シュレッダーダストのリサイクル率
かつてはリサイクルが困難だったシュレッダーダストですが、2018年現在、廃車から出るシュレッダーダストのリサイクル率は97.3〜98.7%となっています。(経済産業省自動車課環境省リサイクル推進室調べ)
過去に埋め立てられていた物のリサイクル率が98%とは、技術の進歩はすごいですね。
エアバッグ類とは
エアバッグ類とは、エアバッグ本体とエアバッグを作動させるための装置を言います。
事故の衝撃から身を守るエアバッグは廃車の際にはどのような処理がされるのかというと、解体業者がエアバッグを取り外すか、もしくは装着されたエアバッグを作動させて処理します。
エアバッグ類は自動車リサイクル法では自動車メーカーに引取・再資源化の義務が課されています。
エアバッグの取外し
エアバッグの取外しには、「取外し回収」と「車上作動処理」の2種類があります。
取り外し回収とは、解体業者が取外し回収したエアバッグ類を引き取って、再資源化施設においてリサイクルする方法です。
車上作動処理とは、廃車に装着されたままの状態でエアバッグ類を作動させる作業を解体業者に委託してリサイクルする方法です。
取外し回収をしたエアバッグ類は再資源化施設へ送られ、そこで熱作動または電気作動で無害化されます。
エアバッグ類のリサイクル
適正に処理されたエアバッグは原材料、部品、その他の製品の一部として再利用されます。
リサイクル率は93〜94%とシュレッダーダストの98%と比べるとリサイクル率は低くなっています。
なぜ、シュレッダーダストのリサイクル率と比べると低くなっているのかですが、リサイクルをする際のコストや技術面で難があり、多くの場合、埋め立てなどで廃棄物として処理されているからと言われています。